Yahoo!ショッピングで広告を検討していると、「ブランドリーチ」という名前を目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。「アイテムリーチと何が違うの?」「実際に使うとどうなの?」と気になっている方も多いかもしれません。
ブランドリーチは、検索結果の上部にブランドロゴと商品をまとめて表示できるバナー型広告です。ブランドを知ってもらう入口として便利な一方、使い方によって成果に大きな差が出る広告でもあります。
この記事では、ブランドリーチの概要や設定手順、最低CPCといった基本を押さえたうえで、よくご相談いただく「競合ブランドのキーワードに出すべきか」「テンプレートはどちらが良いか」について、私の運用事例をもとにお話しします。
- ブランドリーチは検索上部に出せるバナー型広告
- 最低CPCは100円とアイテムリーチより高め
- 競合ブランドKWは単発購入の商材だと合いにくい
- テンプレートは両方試す。スタンダードが勝つことも
Yahoo!ショッピングの広告設計から運用まで、商材に合わせてご提案します。
ブランドリーチとは?検索上部を取るバナー広告
まずはブランドリーチの基本を押さえておきましょう。ブランドリーチは、Yahoo! JAPAN コマースアドマネージャーに含まれる広告サービスのひとつです。
同じコマースアドマネージャーの「アイテムリーチ」が、比較検討中のユーザーに特定の商品を見せる広告なのに対し、ブランドリーチは「カテゴリは決まっているが、買う商品はまだ決めていない」層にブランドを知ってもらう役割です。
掲載場所と入札方法
掲載場所は、検索結果ページの上部・中部枠、カテゴリリスト、商品詳細、トップページです。ロゴからはブランドページや特集ページ、商品画像からは商品詳細ページなどへ遷移させられます。セール時にはキャンペーンページへ飛ばすこともできます。
入札方法は「カテゴリ入札」と「キーワード入札(完全一致)」の2種類です。キーワード入札では競合メーカーのブランド名も設定できるため、競合ブランドを検索したユーザーにも自社を見せられます。
ブランドリーチの設定手順は4ステップ
設定はコマースアドマネージャーの管理画面で、大きく4つのステップで進めます。
- コマースアドマネージャーにログインする
- 「キャンペーン一覧」から既存キャンペーンを選ぶか、新規作成する
- 広告グループで「ブランドリーチ」を選び、グループ名とテンプレートを決める
- クリエイティブと掲載商品3点を登録し、配信カテゴリとキーワードを設定する
掲載する3商品は、売れ筋かブランドを象徴する商品が基本です。入稿後には審査が入るので、イベントに合わせたい場合は余裕を持って準備しておきましょう。
最低CPCとは?ブランドリーチは1クリック100円から
最低CPCとは、1クリックあたりに設定できる入札単価の下限のことです。ブランドリーチの最低CPCは100円で、アイテムリーチよりも高めに設定されています。
| 広告の種類 | 最低入札単価 |
|---|---|
| アイテムリーチ(商品広告) | 25円 |
| アイテムリーチ(キーワード広告) | 70円 |
| ブランドリーチ(ブランド広告) | 100円 |
最低CPCが高いと何が起きる?
たとえば仮に、CPC100円でCVR(購入率)が1%だとすると、1件の購入に1万円の広告費がかかります。客単価3,000円の商品なら、売上の3倍以上の広告費を使っている計算です。
CVRが高い自社ブランドの指名キーワードなら成り立っても、CVRが下がりやすい競合ブランドのキーワードでは、この計算が一気に厳しくなります。
【事例】競合ブランドのキーワードに出すべき?
ここからは運用事例です。ブランドリーチのご相談で特に多いのが、「競合ブランドの指名キーワードに出せば、そのお客様を取り込めるのでは?」というもの。私の答えは「商材による。ただし多くの場合は出さない」です。
単発購入の商材は「ほぼやらない」
私の運用経験では、最低CPCが高いこともあり、競合ブランドキーワードではROASが2桁%台まで落ちるケースが多くありました。かけた広告費の分の売上すら回収できていない状態です。単発購入で利益を取る商材では、ほぼやりません。
指名検索のユーザーは乗り換えにくい
理由は、指名キーワードで検索するユーザーはブランドへの好意度が高いことが多いからだと考えています。
「このブランドのこの商品が欲しい」と決めて検索しているので、別ブランドのバナーが出てもなかなか乗り換えてもらえません。結果として、高いCPCでアクセスだけを集める形になりがちです。
競合ブランドKWを試す価値がある商材
一方で、次のような商材なら検討する価値があります。
- ブランドスイッチが起きやすいジャンル(価格やレビューで比較されやすい消耗品・日用品など)
- リピートが見込める商材(継続購入や定期購入につながりやすいもの)
こうした商材では、初回のROASだけで判断しないことが大切です。LTVで回収できる商材なら、競合ブランドキーワードも試す価値があると考えています。
限界CPAの計算方法とテストの進め方
LTVで回収できるタイプの商材なら、まずは限界CPA(1件の獲得にいくらまでかけられるか)を計算しましょう。基準がないまま始めると、止めどきも広げどきも判断できません。
LTVから限界CPAを出す
限界CPAは「LTV×粗利率」で計算します。広告費をかけても損益がトントンになる上限です。
たとえば仮に、年間LTVが12,000円、粗利率が40%なら、限界CPAは4,800円。ここから残したい利益を差し引いた金額を目標CPAにします。
少額で試して、うまくいけば広げる
ブランドリーチはキャンペーン単位で予算を設定できるので、競合ブランドキーワード用のキャンペーンを切り出して少額でテストするのがおすすめです。自社ブランド向けと混ぜると、どちらが成果を出しているのか見えなくなります。
ただし、分けすぎるとデータが貯まりません。切り出すのは目的が違うものだけにして、CPAが目標内なら段階的に広げ、合わなければ早めに止めましょう。
インテリアなど単発購入の商材は慎重に
インテリアのように単発購入で利益を確保したいジャンルでは、競合ブランドキーワードでうまくいっている企業さんを、私はまだ見たことがありません。リピートで回収できないため、初回のROASがそのまま損益に直結するからです。
こうした商材では、次のような使い方に予算を回すほうが成果につながりやすいかもしれません。
- カテゴリ入札で、まだブランドを決めていない興味関心層に知ってもらう
- アイテムリーチと併用して検索結果を自社商品で埋め、自社ブランドKWを守る
- 5のつく日や超PayPay祭など、アクセスが増える時期に予算を厚くする
- 新商品の発売直後に露出を作り、販売実績とレビューを早く積み上げる
なお、ブランドリーチ全体は認知が目的なので、CTRや指名検索数の推移もあわせて評価すると貢献が見えやすくなります。ただ、競合ブランドKWは他社のお客様を獲得する施策なので、LTVと限界CPAで採算を判断しましょう。
【事例】リッチとスタンダード、どっちが良い?
ブランドリーチで成果を出すうえで、キーワード選びと同じくらい大事なのがクリエイティブです。テンプレートは2種類用意されています。
| 項目 | スタンダード | リッチ |
|---|---|---|
| クリエイティブ | 企業ロゴ+商品情報 | バナー画像+商品情報+お得情報 |
| 向いている訴求 | シンプルな認知拡大 | 使用感の演出、ポイント・クーポン訴求 |
リッチテンプレートは使用シーンの写真を大きく見せられるので、「リッチのほうが成果が出そう」と考える方が多いと思います。
意外とスタンダードのCTRが高いことも
ところが実際に運用してみると、スタンダードテンプレートのほうがCTRが高いケースが意外とあります。
検索中のユーザーは商品を探しているので、雰囲気のあるビジュアルよりも、商品画像と価格がすぐ目に入るほうがクリックしやすいのかもしれません。リッチはバナーらしさが強い分、読み飛ばされることもあると感じています。
商材や時期によって結果は変わるので、思い込みで決めずにリッチとスタンダードの両方を実際に試してCTRを比べるのがおすすめです。同じ期間・同じキーワードで並行配信すると、違いがはっきり見えてきます。
ショッピング支援
ブランドリーチに関するよくある質問
まとめ
ブランドリーチは、検索結果の上部にブランドを出せる便利な広告ですが、最低CPCが100円と高めなぶん、使い方で成果が大きく変わります。
競合ブランドのキーワードに出すかは「LTVで回収できるか」で判断し、単発購入の商材はほぼやらない。リピート商材なら限界CPAを出して少額テストから。テンプレートも思い込みで決めず、実際に試して比べてみてください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。料金・仕様・名称は変更される可能性があるため、最新情報はコマースアドマネージャーの管理画面・公式ヘルプでご確認ください。


